受験を決める前に

社会保険労務士試験は、どの程度のレベルですか?

回答)
合格率で言えば、10%に満たない国家試験です。
つまり10人に1人合格するかどうかです。
ただし、試験の内容・範囲からすると、時間的に余裕のある人なら6ヶ月程度の受験勉強でも、十分合格できるレベルです。
ただし、サラリーマンであれば、1年程度の学習期間は見込んでおく方がベターです。
平日に時間がとれないことを考慮すると、休日は試験勉強だけになるでしょう。

社会保険労務士には、どんな人が向いていますか?

回答)
向いていない人は、本当はいないと思います。
そのために試験があるのですから、まずは試験に合格することが、「向き」「不向き」を判定する基準となりうるでしょう。
女性は、一般に社会保険労務士に向いていると言われがちですが、それは全く的はずれと思います。
あえて言えば、「社交性がない」「サラリーマン時代の不満を持ち越すような人」は、向いていないといえます。

社会保険労務士になって、従業員を雇用の不安から救いたいと思いますが、可能でしょうか?

回答)
現在の社会保険労務士制度にあっては、依頼主は事業主・経営者であるため、理想とは別にそのような行動が目立つようであれば、業務自体を受託しにくいのではないでしょうか。
裁判や仮処分申請もできないことを考えると、あなたの考える方向なら、司法試験を受験されて弁護士の先生になる方が、近いと思います。

もっと言えば、事業会社を作って、雇用を創出する方が理想の実現に近付きます。

今の会社は給料が安いので、自分の力で出きる社会保険労務士を目指したいのですが、私にもデキルでしょうか?

回答)
会社の特徴=サラリーマンの特長は、安くても「安定」その一語につきます。
社会保険労務士とて自営業の一種に違いありませんので、収入の上下、最悪の場合には収入がゼロという状態も覚悟しなくてはなりません。
それだけの覚悟があれば、社会保険労務士を目指すのも良いでしょうが、単に今の会社の給料が安いだけなら、もっと違う方法で収入をアップする方法を考えた方が、ご自身のためです。

社会保険労務士は、自分でスケジュールや計画を立てることができると思いますが、土曜日・日曜日は休みを取れるのでしょうか?

回答)
それも人それぞれですが…。
給与計算を行う社会保険労務士の先生は、毎月下旬から翌月上旬は非常に忙しい状態になります。そのため、土日も取れなくなることがあるようです。年末調整のある12月は、徹夜に近くなる事務所もあります。
決まった曜日に休日が欲しければ、それなりの業務を受託するか、自営業自体をあきらめる方がベターです。

一応は社会保険労務士も自由業ですが、現実は不自由業に近いのではないかと最近非常に強く感じます。

受験資格があるかどうか不安なのですが、確認する方法はありますか?

回答)
社会保険労務士試験の公式サイトがあるので、そちらか、地域の社会保険労務士会でご相談ください。
こちらに、職歴や学歴をお知らせいただいても多くの場合、お答えできない状況です。
受験資格の確認後、安心して試験に挑む方が、良いと思いますので、早急に確認作業を取ってください。

数字が苦手なので、社会保険労務士試験を選ぼうと思いますが、間違いではないですか?

回答)
社会保険労務士業務に置いても、いろいろな計算が必要となります。
例えば、年金額の計算が代表的なものでしょう。

もっとも現在においては、パソコンもありますし、電卓もありますので、計算自体はクリアできる問題だと思います。
雇用保険にも計算式を当てはめるものがありますので、計算式の理解・暗記が苦手であれば、社会保険労務士の試験もおすすめできないことになってしまいます。

何か資格が欲しいと思い、行政書士か社会保険労務士を受けようと思っていますが、どちらの方が良いのでしょうか?

回答)
「その資格を取得されて、何がしたいのでしょうか?」
自己啓発で受験されるのなら、どちらでも良いと思いますが、もし合格後開業を想定されているのであれば、業務内容は調べた方がベターです。
受験資格の関係もあるので一概には、決めつけられませんが、何か一つ「これが特技・技能」というものがある人なら行政書士、「中小企業の労務管理に関係したい」と思えば社会保険労務士の方でしょう。

社会保険労務士も中小企業診断士も食えない人が多いと聞きます。どちらを選ぶのが得策でしょうか。

回答)
資格だけで選ぶなら「司法試験:法曹」だけでしょう。
それ以外は、業務独占を謳っていても非常に厳しい競争があります。
サラリーマン時代に強い得意分野があれば診断士は非常に強い味方になるようです。
実際に食えない人もいるのでしょうが、食べている人も多くいます。
マイナスイメージばかりにとらわれないことをオススメします。

大阪社労士事務所は、合同事務所ですが、メンバーは1年から3年でそこそこの売上げを持って、自分で事務所を構えるレベルにまでやっています。

私は法律家にあこがれていますが、社会保険労務士は法律家なのでしょうか。

回答)
非常に難しいと言うか、主観の入るご質問です。
世間一般に、法曹3者が「法律家」、それ以外の法律系士業が「隣接職」と呼ばれています。
私の考えでは、社会保険労務士はあくまで実務家であり、学者や法律家でなく、中小企業診断士に近い「経営コンサルタント」「事務の代行業者」の方が、理解しやすいと思います。
もちろん、企業内や年金のことは法律を知らなければなりませんが、憲法や民法が試験科目にない国家資格者は世間から低く見られているようです。

人事部門への転職を夢見て、その前に社会保険労務士の資格を考えていますが、求人は多いのでしょうか。

回答)
人事にしろ経理にしろ経験を問われます。
個人的には、経験は企業規模との絡みで決して評価できることではないと思っていますが、社会的には経験重視です。
また、一部の企業では社会保険労務士資格者は、採用しない(したくない)方針であることを聞かされています。
逆に、労働コンプライアンスを評価する企業であれば、チャンスはあると思います。



2009-07-13 (月) 11:12:27更新
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