事務指定講習を受けずに登録

社会保険労務士試験に合格すると、社会保険労務士会に登録するのかしないのかで悩みますが、登録するには「実務経験2年以上」が必要です。

「実務経験2年以上」がない場合は、連合会が開催する「労働社会保険諸法令関係事務指定講習」(事務指定講習)を受講し修了することが必要です。

社会保険労務士試験の合格通知が来たら、何も考えずに「事務指定講習」に申し込んでも良いのですが、その前にご自身の職歴、従事内容を再確認してみましょう。


連合会の情報

全国社会保険労務士会連合会のホームページには、次のように記載されています。

Q:登録に必要な2年間の実務経験について
A:2年間の実務経験とは、社会保険労務士法施行規則第1条の2に掲げる事務であり、具体的には労働社会保険諸法令に関する実務経験をいいます。実務経験の内容について、確認を希望する場合は、従事期間証明書に必要事項を記入し(下書きで結構です。)、FAXにて連合会登録係あてにお送りしていただければ、後日回答いたします。

注)「社会保険労務士法施行規則第1条の2」は、「(指定の申請)」(個別労働関係紛争解決手続実施団体指定申請のこと)であり、改正があったのをそのままにしていると思われます。正しくは第1条の11でしょう。(平成21年11月2日ホームページ内容確認)

そして、もう一つ事務指定講習の確認もしてみましょう。

事務指定講習の「受講資格者」には次のように記載されています。

社会保険労務士試験合格者等であって、労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務に従事した期間が2年に満たないもの(昭和57年4月1日前に社会保険労務士試験に合格した者を除く)。

はい、実のところ「実務経験が2年以上ある者」は事務指定講習を受講することができないのです。事実上この点のチェックはされていない(不可能に近い)と思われますが、建前では「経験はあるけど受講する」「念のため、書類の作成実務だけでも受講したい」は認められていないようです。
(どこまでのチェックがあるかは不明ですが、ホームページに掲載されている以上、それなりのことはあるでしょう。平成21年11月2日にホームページ内容確認。)


チェックする職歴と考え方

人事・労務・総務で、実際に実務(社会保険や労働保険の書類を作成すること)に携わっていた場合、おそらく実務経験としてカウントされます。これについては、異論がないところでしょう。

書類の作成自体が前例を真似るような事務であったとしても、連合会の従事期間証明書の例にあるように従事した内容を記載し証明が有れば、実務経験として認められてしまいます。

では、その実務をしていた担当者の上司、管理職であった場合は、どうなるのでしょうか。
「実務(書類の作成)をやっていないので、実務経験としてカウントしない」が正解でしょうか。

書類のチェック、すなわち役所提出前の最終的な判断や、決済等をしていたのではないでしょうか。
(書類を実際に記入したことしか実務経験にならないのであれば、人事部長や総務課長は「実務経験ナシ」になってしまいます。)

また、経理等で給与計算していなかったでしょうか。
「経理にいたから、社会保険や労働保険の実務に携わっていないから」実務経験がないのでしょうか。

賃金台帳の作成をしていれば、立派な「労働社会保険諸法令に関する事務」をやっていたのではないでしょうか。(賃金台帳の作成根拠は、労働基準法=別表第1に定める法律の1つ)

営業所や支店の所長・支店長であったとしても、当然労務管理に従事し、出勤簿(勤怠)の確認や調製に関わっていたのでは、と思います。

労務担当役員であったり、労組専従であった方も「事務」としてカウントされるわけですから、書類の作成=事務であるとは限りません。

つまり、
役職名に惑わされることなく、そして「事務」「実務」の言葉に惑わされることなく、現実の問題として何をしていたのか、少しでも労務管理、勤怠管理、帳簿作成に絡んでいたのであれば、連合会に問い合わせてみる価値があると言えます。

(残念ながら社労士開業予備校では、登録の可否についてお答えすることができません。連合会または都道府県社会保険労務士会にご相談ください。)

従事していた業務内容を再確認していただくことで「実務経験」としてカウントできるのであれば、「事務指定講習」を受けずに、社会保険労務士として登録できる、即ち他の事務指定講習受講者より最大で10カ月早く社会保険労務士としてのスタートを切ることができるのです。

先んずれば人を制す、です。

開業を目指しているのであれば尚更です。事務指定講習の浮いたお金は、開業セミナー・開業塾の受講費用や書籍の購入費用に充てるのも良い使い方です。

ちなみに、社労士開業予備校の受講生の状況を考えても、事務指定講習を受講する方のうち現実には2割程度の方は「2年以上の実務経験がある」と思えて仕方がありません。

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法的な根拠

社会保険労務士法
(資格)
第三条 次の各号の一に該当する者であつて、労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務に従事した期間が通算して二年以上になるもの又は厚生労働大臣がこれと同等以上の経験を有すると認めるものは、社会保険労務士となる資格を有する。
一 社会保険労務士試験に合格した者
(以下省略)

社会保険労務士法施行規則
(社会保険労務士の資格)
第一条の十一 法第三条第一項の厚生労働省令で定める事務は、次のとおりとする。
一 国又は地方公共団体の公務員として従事する法別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)の施行事務
二 労働社会保険諸法令の規定に基づき設立された法人の役員(非常勤の者を除く。)又は従業者として従事する労働社会保険諸法令の実施事務
三 旧港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)第四十四条第三項の納付金事務組合、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)第三十三条第三項の労働保険事務組合、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第九条第一項の指定を受けた団体又は国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第百九条第二項の国民年金事務組合の役員(非常勤の者を除く。)又は従業者として従事するこれらの法律の規定に基づく事務
四 国若しくは地方公共団体の公務員、労働組合の職員又は会社その他の法人(法人でない社団又は財団を含み、労働組合を除く。以下「法人等」という。)若しくは事業を営む個人の従業者として従事する労働社会保険諸法令に関する事務(特別な判断を要しない単純な事務を除く。)
五 労働組合の役員として専ら従事する労働組合の業務
六 法人等の労務を担当する役員として従事する業務
七 社会保険労務士又は社会保険労務士法人の補助者として従事する労働社会保険諸法令に関する事務


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2009-11-23 (月) 10:30:45更新
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