全国社会保険労務士会連合会の事務指定講習
事務指定講習の意味
社会保険労務士試験の合格、おめでとうございます。
社会保険労務士としての登録資格を得る方法は、主に2つ有ります。
- 2年間以上の実務経験
- 連合会の事務指定講習を修了する
実務経験には、単に「離職票を作成したことがある」「就業規則を作成したことがある」だけではありません。労組の専従役員や法人の人事労務担当役員も、「実務経験」に含まれます。
一方、全く「人事・総務・労務」部門に接していなかった社会保険労務士試験の合格者にとっては、事務指定講習だけが限られた資格登録へのステップです。
事務指定講習は、2年間以上の実務経験をお持ちの方でも、「書類作成に接したことがない場合」は、申し込まれるケースがあります。
その場合は、「日本経営教育センター」に申し込まれることをおすすめします。理由は、お安いからです。なぜなら、同じことをセンターで通信教育としてやっているから。エッ、知りませんでしたか。
いわゆる「同期」の方と再会したい? 事務指定講習を受けてみたいのであれば、申し訳ないですね。(建前では、実務経験2年以上をカウントできる場合は、受講対象者ではないとか。詳しくは、連合会のHPでご確認願います。)
経理や給与計算を含む総務全般の事務知識を得たい場合は、納税協会等で開催している「総務管理者養成講座」がおすすめです。通信教育もあります。
一方、最近では、都道府県の社会保険労務士会でも新規入会者向けの基礎教育をやっていますので、それを受講すれば、追加費用は掛かりません。
履歴・従事内容の再確認
事務指定講習の申込み前に、まずご自身の職種や職歴、従事内容を再確認しておきます。
社労士開業予備校講座を受講し、かつ事務指定講習を申し込まれた方のうち、少なくとも2割程度は、実際は職歴・従事内容で、登録に必要な実務経験2年をクリアできていました。(ヒアリングや意見交換からの情報で)
「ねんきん定期便」ではありませんが、過去・現在の勤務を今一度振り返ってみましょう。
自分のスキルチェックのためにも、是非やっておきたいところです。
事務指定講習の受講方法
通信教育(自宅学習)と面接授業(スクーリング)がありますが、その受講方法ではありません。
どのように受講すれば、登録・開業後に活かせるのか、その方法です。
開業を目標あるいは予定にしている方は、とくに下記事項に注意して、教材に当たってください。
- テキストを読む前に、受験のテキストを一度目を通しておきます。
基礎的な事項でも忘れているかも知れませんので、見慣れている受験のテキストで確認します。法改正うんぬんは、この段階では気にしなくて構いません。
- 課題は、自分で回答を作ります。
当たり前ですが、開業後は全部自分で業務を処理するからです。他の人との答え合わせは、不要です。
「間違っていても、どこをどのように考えたから間違えたのか」それが重要です。中学高校の時、数学の先生に言われませんでしたか?
間違っていても、そのことだけで修了証をもらえない状態には現在のところ、なっていません。
- エッセンスコースの事前学習会では、もう1つ。
実は、「もう1つ」が実務上は非常に重要だからです。
難しいことではありません。『なーんだ!』です。
開業されるのであれば、この程度は独力でやりたいものです。
それで事務指定講習がやっと「書類作成経験」初心者レベルの有効な手段になります。
書類作成について心配であれば、日本法令や清文社から出版されている社会保険・労働保険の事務手続きの書籍を購入しておきます。
雇用保険(労働保険手続きの一部を含む)については、職安(公共職業安定所)でマニュアル・手引きの類を無料配布していますので、入手しておきます。労災保険の給付申請については、労働基準監督署にパンフレットがあります。社会保険の手続きについても、日本年金機構のHPからリーフレットやパンフレットをダウンロードできます(年金事務所で印刷物をもらえることもあります)。
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事務指定講習では教えてもらえないこと
事務指定講習では、社会保険・労働保険と労働基準法の届け出は、大まかにカリキュラムに組み込まれていますが、組み込まれていないことも多く存在します。代表格が「お客様を獲得すること」です。
事務指定講習は、「登録」のためであって、開業予定者のためではありません。お間違いなく。
▶成功へ導きます、エッセンスコース
- 就業規則の作成・見直し重要
就業規則の記載内容については、講義されますが、「作成・変更の方法」自体は、対象外です。(エッセンスコースに講義あり)
- 給与計算必須レベル
実務上は非常に大事なテーマですが、なぜか取り上げられていません。税理士会に遠慮しているのでしょうか。知っていないと、就業規則・賃金規程の作成や見直しの際にも影響します。(エッセンスコースに講義あり)
- 助成金申請
事務指定講習では名称程度です。営業ツールにしたい方は、注意が必要です。書籍もありますが、「社会保険労務士向け」は無いと言っても良いと思います。日本法令さんから出版されていますが、役所の記入例を寄せ集めた印象です。(エッセンスコースに講義あり)
- 顧客開拓・営業重要
一部の社会保険労務士会では、相談会や研修会で営業のレベルアップを図っていますが、普遍的なものではないようです。
つまり、「(開業して比較的上手く売上げを上げた先生である)成功した人の経験談」を聞くだけになっているケースが多いのです。ヒントにはなっても、行動へのきっかけには不十分です。
(エッセンスコース、顧客開拓・運営実務コースともに講義あり)
- 事務所内の作業重要
意外に思われるかも知れませんが、料金体系や請求、契約の関係は開業セミナーでしか聞くことができません。事務所内の帳簿の付け方もです。
(エッセンスコース、顧客開拓・運営実務コースともに講義あり)
- 賃金制度・退職金制度
例えば、適格退職年金の移行を営業ツールにしたい場合は、書籍や専門(有料)の講習会でノウハウを得るしか方法は有りません。(エッセンスコースに講義あり)
- お客様とのやり取りに関するツール必須レベル
これがないと、確実な書類のやり取りができません。まさか、電話一本ですか。
(エッセンスコース、顧客開拓・運営実務コースともに講義あり)
その他にも必要な事項はありますが、連合会の事務指定講習は、あくまで社会保険労務士業務のごく一部の事務にしか過ぎないことを頭に入れておいて下さい。
開業の成功で一番重要なこと
書類の作成能力はもちろん必要ですが、全てではありません。
一番重要なのは、「お客様があること」です。
つまり、顧客開拓・顧客獲得の能力が、社会保険労務士の開業成功の8割9割を占めると言い切っても、過言ではありません。
「口が上手い」「度胸がある」ことでもありません。
「業務を売る能力・スキル」がどれだけあるのか、です。
プラス、コミュニケーション能力。
事務・書類作成が完璧でも、お客様がいなければ、その実力を発揮することは不可能です。
開業社会保険労務士で廃業されてしまう方は、そこを勘違いしているのではないでしょうか。
そして、「動くこと」。
開業で成功するためには、お客様があって初めて、書類を作成できたり、就業規則・労使協定を作成できることを忘れずに、行動していただきたいものです。
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2020-01-05 (日) 07:59:40更新
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