就業規則の電子申請には落とし穴がある

【社労士開業予備校では、うっかり間違いやすい実務についても調べてみます。】

あるエッセンスコースの修了生さんから相談をいただきました。
「桑野さん、就業規則の電子申請をしたことありますか?」
(労働基準関係の手続きは、2度手間になることが多いので、未だ紙の書面派です。)

修了生さんによると、1)印刷すると就業規則の枚数が60ページを超えてしまう、2)60ページを超えているのでホチキス等で綴じることができない、3)少し遠い労働基準監督署に行かないとイケナイので辛い、それらのために電子申請をしたいという。私は就業規則の担当講師ではないし、電子申請の担当講師でもなく、最初に書いたように労働基準関係の手続きは電子申請の否定派…。
(いわゆる社会保険・労働保険の手続きは、一部の健保組合などの手続きを除き、電子申請しております。)

まあ、育児介護休業規程だけで20ページ以上あるので、全体として60ページを超えることは今では普通なのかも知れません。でも、両面印刷すれば30ページちょいになるので綴じれる厚みになるのでは。遠い労基署でも郵送すりゃええヤン。と、思うのは時代遅れか。

社労士開業予備校:就業規則の電子申請には落とし穴がある

とりあえず、調べてみました。(オイ!
▶厚生労働省:労働基準法等の規定に基づく届出等の電子申請について
▶e-gov:就業規則(変更)届(各事業場単位による届出)
(本社一括届出は、都合により省略)
(電子申請に係る留意事項PDFは、よく読むこと)
▶厚生労働省:社会保険労務士等が労働基準法等に基づく手続について電子申請により提出代行を行う場合の取扱いについて

疑問に思いそうなこと

  • 入力は、楽にならないのか
    楽にならない、取りあえず入力しましょ。36協定届の控えを見ながら入力するのが吉。
  • 労働保険番号は必要
    手元に労働保険番号をおいておきましょう。継続一括を受けている場合であっても整理番号までは入力不要(やってるんかい?? あるページには「整理番号が必要なので確認しましょ」とありますが、不要で空欄のままで大丈夫。)
  • 意見書は、PDF添付?
    意見書は紙ベースでもらっておく必要はあるが、e-gov画面で入力も可。おそらく押印署名不要の延長線上

どうしても意味が理解できなかったのが「電子署名・電子証明書がなくても良い」部分。実際に経験のある社会保険労務士なら分かると思いますが、電子署名ができず電子証明書の選択もできない。つまり、提出代行証明書が必要、ただし、社労士証票のコピーが必要なので、従来の古ーい提出代行証明書だとアウト。

もう一つは、「定型印」が必要であること。電子申請に係る留意事項からコピペ。

4.社会保険労務士等が提出代行等をする場合
(1) 社会保険労務士又は社会保険労務士法人(以下「社労士等」といいます。)が申請書の作成、事務代理又は提出代行を行う場合は、社労士等が届出等の提出を代行することを証明した契約書等(P3の様式をご参考にしてください。)及び社労士証票の写しを添付する必要があります。
(2) 申請書に「社会保険労務士記載欄」が設けられていない場合については、各申請書に応じて、以下①または②のとおり対応してください。なお、社労士等が届出等の提出を代行することを証明した契約書等の添付により、以下の記載事項が確認できる場合は、以下①及び②は不要です。
① 申請書の余白に入力が不可な場合は、別途、以下の記載事項を入力した添付書類ファイルを作成し、添付書類フォルダに添付してください。
② 申請書の余白に入力が可能な場合(Word形式、一太郎形式等)は、余白に以下の記載事項を入力してください。

表記載事項(注_これがいわゆる定型印と同じ部分)
項番 記載事項
1 作成年月日(例えば、「R3.4.1 作成」と入力)
2 委任範囲(「提出代行者」又は「事務代理者」を入力)
3 社会保険労務士の名称を冠した氏名(「社会保険労務士○○○○」と入力)

令和3年4月以降に開業されたり、GビズID利用の社会保険労務士なら、提出代行証明書はそのまま、それ以前の古い顧問先様など提出代行証明書を作り直すところから(メールで顧問先等の確認を取っておきましょう)。

就業規則の電子申請の感想

修了生さんに、後日談として就業規則の電子申請をやってみての感想を聞いてみました。「お前はしないのか」は知りません。

「楽すぎます!」
このひと言をいただきました。

1)労働基準監督署に提出する分の就業規則類の印刷が不要
2)交通費も、郵送料も、往復などの時間と手間と費用も不要
3)きっちり注意事項などを読まないと、返戻される
4)セルズの台帳から企業情報を引っ張れると嬉しい(同感、Kiteraは引っ張れるらしい)

36協定と違い、意見書は形式なので、確かに就業規則の電子申請は有りかも知れません。ただ、就業規則の作成・変更って、それ相応の料金をいただいているはずなので、いろいろ「ケチる」のはどうなんでしょうか。

今ふと思いましたが、成果品の納品もメール送信などで済ませることができますが。確かにグループウエアや社内LANで周知をする場合は、データで納品する方が良いのかも知れません。今回、そこまでは伺いませんでした。

でも、36協定の電子申請だけはご注意くださいね。

個人的に疑問に感じたところ

就業規則の電子申請は、社会保険労務士が代行しようとすると結構添付書類が必要。ただ、企業の方がご自身の企業の就業規則の電子申請をするなら面倒な書類の添付は無し。
(36協定届も同じで、顧問先様やスポット依頼先様も、「楽でした~」とおっしゃっていました。協定締結があるので、基本おすすめはしていません、ハイ。

とすると、企業の担当者になりすまして、社会保険労務士じゃない人事労務コンサルタントなどでも代行できてしまうの?と思ってしまいました。電子証明書が不要なら、と感じた次第。もちろん、社会保険労務士がそんなことをすることはないでしょうが。

※諸事情により、脚色しています。


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