「36協定、押印・署名が不要なの知らないの!」

【社労士開業予備校では、基本や基礎的なことを大事にしています。】

ある会合で、ある開業社会保険労務士と雑談する機会を得ました。最近開業されたらしく、意気揚々の雰囲気。ちょうど、電子申請の話になりました。
「36協定も、もちろん電子申請していますよ。楽ですから。」

話を伺うと、お客様から36協定のデータをメールで送ってもらい、それをベースに36協定を電子申請しているとか。2回目(2年目)以降の企業は、変更点だけデータを送ってもらっているという…。

私 「意外と面倒くさくないですか? 36協定は電子申請よりペーパーの届け出の方がシックリきますけど。」
開業さん「楽ですよ、だって押印不要ですから、サッサと手続きできるじゃないですか。」
私 「えっ、押印とか署名とか、要るでしょ!」
開業さん「要らないですよ、知らないんですか? 2年前(2021年)の4月から36協定に押印要らないんですよ。先生、勉強されてます?」

この開業社会保険労務士、社労士開業予備校エッセンスコースの修了生でなくて良かったです。

社労士開業予備校:「36協定、押印・署名が不要なの知らないんですか!」

書いておきます。
36協定届を電子申請することは、厚生労働省も推進しているので良いことだと思います。
▶厚生労働省:36協定届が新しくなります
▶Google検索:「36協定 押印 廃止」で検索

このPDFを読んでいただくと分かると思いますが、36協定書への押印、署名は必要です。

36協定届を社会保険労務士が電子申請するには、
1)36協定書の原案をお客様からヒアリングの後に作成
2)36協定書をお客様へ送付(PDFか、印刷して郵送か)し、労働者代表に確認してもらい、押印等してもらう
3)締結できた36協定書を送付してもらう(PDFや画像でOK)
4)36協定届を、送付してもらった36協定書を元に入力、送信
5)電子申請の受付、終わり
という感じでしょうか。

この、ある開業社会保険労務士は、協定の締結無しに36協定を電子申請していた…。元々の協定がないのに、協定の周知とかどうするんでしょ。まさか、受付印の押された電子データを印刷等して周知??

ペーパーで36協定を労働基準監督署に届け出るのに1事業所あたり2部作成するのは、実は「届け出分」「控え分」ではありません。1部は届け出分、残りの1部は「協定書」です。同じ内容で作成しているので、正副とかそんな感じになっているのでしょう。通達は、▶労働基準法解釈総覧で確認しておきましょ。運送業や労働組合のある企業は、別途協定書を作成しているケースが多いでしょうが、兼用は9割以上?

話を伺うと、推測にしか過ぎませんが協定書がないだけでなく「従業員の過半数代表者の選定確認をしていない(協定書がないので無理か)」「時間数は45の360でしている(実態に即した時間数にはしていない)」等々。

その開業社会保険労務士が連れてきた、同じく開業したての社会保険労務士も「先生、ちゃんとしてくださいね。36協定はもう押印要らないんですよ」と言われました…アハハ。ボケてると思われたか…。

10月の社会保険労務士月間で某労働基準監督署でお席を借りる際にも、一般の方とトラブルになっているのが聞こえてきます、36協定の押印廃止問題。一般人「押印廃止やろ」→相談員「いや、協定締結が確認できません」→一般人「いや、廃止て書いてるやろ」→相談員「1部には押印お願いします。m(__)m」→一般人「どういうこと?」

はい、36協定届を電子申請するなら、先に社会保険労務士側で協定書(案)をいったん作成する手間が必要ですよ。
コワすぎる~、労働基準法違反や~

※開業社会保険労務士ご本人の名誉のために、会った場所・内容は脚色しています。ちゃんと36協定書としての押印、署名は省略できない旨伝えています。あーあ、余計なこと言わない方が良かったかなあ。


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