合格から登録まで

社会保険労務士試験に合格して、登録するまでをどう過ごせばよいのでしょうか。

資格マニアの方、自己啓発の方、勤務で活かすための方にとっては、登録はさほど重要では無いかも知れません。

開業を1つの目標に掲げているのなら、業務に従事してみたいと思う方も少なくないでしょう。また、「社会保険労務士試験に合格した」と知人友人に話したことで、登録前に仕事を依頼されることもあるでしょう。

現実的には、どのように対応することがコンプライアンスをクリアできるのでしょうか。


まずは名刺

受験予備校では、このように記載するよう指導されているところもあるようです。

 社会保険労務士試験合格者 ○○ ○○

これなら事実のみ記載していますので、問題はないと思います。
一方、このように記載している合格者の方も少なくありません。

社会保険労務士有資格者 △△ △△

一見、問題がないように思えますが、社会保険労務士法第3条には「労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務に従事した期間が通算して2年以上になるもの又は厚生労働大臣がこれと同等以上の経験を有すると認めるものは、社会保険労務士となる資格を有する。」とあり、個人的には非常に微妙だなと思っています。

「実務経験2年に満たない」「事務指定講習を受講中」であれば、社会保険労務士となる資格をその時点では有していないはずですので、「有資格者」では無いと思います。

まあ、「試験合格者」が無難でしょうか。


業務に従事する

社会保険労務士会に登録ができていない状態で、社会保険労務士業務に適法に従事することは可能でしょうか。

結論は、「可能」です。

  1. 報酬無しで対応する
    社会保険労務士法第27条では、「社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行つてはならない。」とあります。
     
    即ち、報酬を得なければ、社会保険労務士業務は誰がやっても法律上は構わないのです。社会保険労務士試験に合格うんぬんは、関係ないのです。あくまで法律上の問題はありませんが、倫理的には宜しくないのでは、と思います。
     
    なお、名称に関係なく報酬がゼロであっても、業務を行ったことに対する責任はついてきます。「ゼロだから無責任」ではないのです。
     
  2. 従業員として行う
    給与をもらって、従業員として社内の業務処理に当たります。この場合は、給与もいただける、そして責任の所在もクリアになります。
     
    問題があるとすれば、「安い給与」から「それより高い業務委託料」へ変化することを経営者・社長が納得していただけるかどうか、また複数の事業所対応をすると、「兼業問題」が生じます。
     
  3. 知り合いの社会保険労務士事務所へ委託
    知り合いの開業社会保険労務士がいるのであれば、一時的にその先生に受託していただき、開業後に契約変更をするスタイルであれば、「業務委託料」「兼業」の問題は生じません。
     
    もちろん、開業社会保険労務士に雇用される従業員(スタッフ)として従事し、給与を受け取る形になります。
     
    が、責任は付いてきます。また、契約変更時の手間をどうするのか、そもそも開業社会保険労務士の知り合いがいない、などの問題があります。

コンプライアンスのうえでは問題はないように見えますが、現実には「責任の所在」が一番大きなネックではないでしょうか。

登録までの間に、社会保険労務士業務を行うことは相当程度のリスクがあります。やはり、「開業してから」が本来・本筋ではないでしょうか。結論としては、やはりおすすめはしません。自己責任の世界です。


≫≫次のステップは、社労士開業予備校講座



2009-11-06 (金) 10:37:45更新
a:4113t:1y:1