開業時には考えない方が良い制度、注意する制度
【社労士開業予備校では、基本基礎を大事にします。】
社会保険労務士として開業すると色々な制度を導入したくなります。例えば、労働時間制度、休暇の制度が分かりやすいでしょうか。「お客様からのご要望を検討した結果が、○○の制度でした」と聞きますが、ホント?
まずは、本来の制度で対応可能なのか、導入する制度は運用可能なのか(運用可能な企業なのか)を考えた上で、新しい制度は導入した方が良いと決め付けます。
代表がこれです。
- フレックスタイム制
- 計画年休(年次有給休暇の計画的付与)
- 1年単位の変形労働時間制
この3つの制度は、運用のハードルが高い。また、法律としては書かれていないが制定趣旨を考慮したら、運用を考えたら、導入は非常に困難であるとしか思えませんが。
以下、制度の詳細は書かず、なぜ導入してはいけないのか。
もちろん、運用できるサポートが出来る自信があるのなら、導入することに何の問題もございません。
フレックスタイム制
始業時刻・終業時刻を、労働者・従業員だけでなく使用者も(も!)自由に決めることが出来ると勘違いすることが多い印象。導入相談で伺っても、企業側の立場の方からもそう言われることが多いのがフレックスタイム制。
また、コアタイムを非常に長時間にする。1日の標準時間を8時間とした場合、コアが6時間。それなら、始業時刻の繰り上げ繰下げで対応できません? 余ったら、「早く切り上げて」で良いと思うけど。6時間がダメとは法律には書いていません。
計画年休(年次有給休暇の計画的付与)
年次有給休暇5日取得義務化に際しても、計画年休は促進策の一つに挙げられています。が、まず労働条件の不利益変更になる可能性があるので、事前に説明会等は必要。
次に、「面倒じゃないですか」。それなら、年次有給休暇の時季指定を使えば良いだけの話し。臨機応変に対応できるし、労使協定もいらない、事業主・使用者が指定すれば良いだけ。ペーパーでなくても口頭でも…。
1年単位の変形労働時間制
キレイに運用しようと思うと難しいのが、これ。最近は1ヶ月変形でも厳しいことを言われているそうですが。36協定の上限問題、振替休日が事実上ダメ、シフト変更も事実上ダメ、労働時間により賃金清算が必要、労基署への毎年の届け出、等々で面倒。
(振替休日やシフト変更は、法令にダメとは書いていない。通達は法令ではありません。)
年間休日を105日にするための方策としては、よろしくないと言うこと。
他にも忘れがちなこと
いくつかありますが、簡単にまとめておきます。
- 労働者の過半数代表者
ちゃんと過半数代表者を選任できていますか? 就業規則は横に置いといて、労使協定なら過半数代表者が命。ココが適当だと、労使協定自体が無効になるおそれも。
先に書いた制度は、どれも労使協定が必要。即ち2重でハードルがあるということなので、チャンとやろうとすると経営者・事業主から嫌がられること間違いなし。「おーい、○○君ハンコ押して」とか、最悪「ハンコは不要です」と言う社労士がいる…、とか。役所分と保管分と勘違いするとコワい。
- 事業所・事業場単位
忘れがちですね、この基本的な考え方。開業して間がない先生であっても、分かってる先生はきっちりやってるみたい。でも、やらない先生は全くやらないみたい。労使協定は原則事業所・事業場単位ですからねえ。
社会保険・労働保険のことはあえて避けました。が、例えば建設業の事務所労災、資材・機材置場の労災は忘れがち、しつこいけれど。
新しい制度の導入は慎重に
とくに開業して2年3年なら、上記については気にして欲しいところ。
と言うことです。
追記:こういうネタは、良い供給元があります。合同事務所・共同事務所のメンバーとか、社労士開業予備校講座の修了生とか。考えて書いてるのでなく、実例があるんですわ!
追記2:「時間単位年休は、導入するな」
少なくとも実態として年休取得率(日数)がどの程度かは確認すべき。最低でも5割程度の取得率が必要かと。だって、取得義務5日には含まれないし、年休取得促進策としてなら半日年休の方が良い。0.5日ですから。年休管理を請け負うなら、お好きなように~。
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