連合会への提言

就業規則の届出義務を5人以上の事業場へ、適用範囲を拡大

提案理由

  1. 労務管理のアドバイスこそが、社会保険労務士が必要とされる道である
  2. 労働条件をめぐるトラブル、労働時間管理に関するトラブルを考えるとベースとなる就業規則の適用が問題となるため
    現状では10人以上であるが、適用範囲を拡大することで多くの労働者に安心して働けるようにする。
  3. 5人以上とすることで、労働条件・就業規則に対する意識が高まる

参考
(作成及び届出の義務)
第八十九条  常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一  始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二  賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三  退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
四以下省略

内容

提案理由そのままです。

対応するのは労働基準監督署ですが、労働基準監督官の増員、小規模事業者相談員(仮称)の予算化(=たぶん、社会保険労務士を配置させる)により対応可能です。労働生産性の向上に少しでも寄与するのではないかと甘い考えを持っています。

労働安全衛生法における社会保険労務士の位置付け

ついでに・・・

ご存じのように労働安全衛生法での社会保険労務士は、全く考慮されていません。47年も制度制定以来経つのですから、安衛法に社会保険労務士を入れても良いのではないでしょうか。

つまり産業医と同じ位置付けにして頂きたい。従業員数50人以上とは言いませんが、100人以上なら認定社会保険労務士(仮称)の選任義務を発生させる。分担は、安全衛生法および労働基準法について。

認定社会保険労務士(仮称)とは、社会保険労務士であって、第1種衛生管理者の免許を持つ者、他に社会保険労務士会が行う認定研修を修了し最終試験に合格した者などを「認定」し、認定社会保険労務士(仮称)とする。

ついでに、衛生管理者の受験資格に社会保険労務士有資格者を含める。私が衛生管理者を受験した際に、何人かから受験資格について質問されましたが、スタッフを使ったことがなかったり、人事労務・総務系の仕事を経験していない社会保険労務士だと安全衛生実務がクリアできないのです。

例えば労務監査制度の導入を

安全衛生法ではなく、労働基準法に入れる方法もある、と思いました。会計監査における公認会計士さんのように。

認定社会保険労務士(仮称)を作り、例えば、労働者数50名以上の事業場には選任義務を負わせる。50名が厳しいなら300名や、株式公開会社でも結構。認定社会保険労務士は、勤務者でも開業者でも良く、勤務者を選任する場合は、専任であること、など。

勤務者の地位向上にもつながります。

連合会には、国会・厚生労働省へ働きかけていただきたいと思います。

(この項、2015年2月27日に追加)

なぜ「10人以上」

おそらく、工場法を労働基準法が引き継いだからでしょう。
国会答弁や労働基準法の制定時の資料を調べていませんので、確定的なことは書けませんが。

労働基準法は、戦後の昭和22年に施行され、すでに70年近く経ちます。工場法の時代に問題とされた「小さな工場」への適用問題が未だ放置されているのは、いかがなものでしょうか。

労働基準法自体は、労働者数制限はありませんが、就業規則の有る無しはやはり意識として大きいと思います。

(この項、2015年2月22日に追加)

まとめ

昔、この「就業規則5人以上」を連合会が取り上げていましたが、司法制度改革の中で、また経営者側の団体の反対等で、いつの間にかなくなってしまいました。

時代的にも、マッチしているのではないでしょうか。

司法制度改革にクビを突っ込むより、こちらの方がずっと重要だと思います。労働基準法も労働安全衛生法も、社会保険労務士の担当部局と違うから調整が大変なんですね、と思っていたら違っていました…。ただ、国民の要望の一つ(確かな労働条件)を実現できると思います。

これだけコンプライアンスと言われる時代です。
「できない」「やったことがない」ではないと思います。
できないことはありません。
社会保険労務士会連合会の幹部の方が、どれだけ就業規則や労働条件を真剣に考えているかだけだと思います。




2015年2月14日の更新
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