開業時には、「自宅開業*1」「事務所を借りての開業」など色々な方法があります。
「共同事務所*2」も選択肢の一つになりうるでしょうか。

簡単に作り方をまとめました。

ここでは、既に設置者がいる合同事務所・共同事務所ではなく、社会保険労務士の共同事務所を新たに作るケースを取り上げています。

共同事務所のメリット

  • 費用が割安
    開設時の費用も、ランニングコストも人数分安くなります。
    テナントの初期費用が50万円、備品等が20万円の場合、1名なら70万円、2名で37.5万円(机・椅子5万円時)、3名で約27万円の計算になります。
  • 大きな事務所に見える
    同一の場所に同業者がいることで、「大規模アウトソーシング」「大企業の業務受託」時に継続性、安心を売りにできます。事務所名を同一にできれば、それはより一層効果的です。
  • 安心感
    仲間がいることは、やはり安心につながります。
    同期開業者ばかりでは、不安が増すという噂もありますが、「一人・孤独」ではなく、近くに同業者がいるのは何より安心です。


共同事務所のデメリット

実は、デメリットは無いと言っても良いのかも知れませんが、リストアップするなら、こんなものでしょうか。運営上の問題点と表現する方が良いかも知れません。

  • 運営方針の差異が目立ってきたとき
    分かりやすく言うと「考え方」「仲違い」「売上げの差」でしょうか。
    その後の運営をどうするのか、悩ましいところです。
  • 事務所名の問題
    同一なら問題とはなりませんが、多くの開業者は「一国一城の主」にあこがれて社会保険労務士を選んでいます。つまり「自分自身が大将」です。
    別々の名称にする場合、ビルによっては入り口の「プレート」の代金を多めに取られたりすることもあります。
  • 経費の負担割合
    共同事務所が解散する大きな、そして第一番目の理由が「経費の負担割合」です。
    固定費はそう問題とはなりませんが、変動費用つまり電話代やコピー代です。

共同事務所のノウハウ

  • 誰と組むのか
    同期開業がベストです。(新規に事務所を作るので)
    なぜなら、同時スタートなので、助け合える部分が多いことです。
     
    次は、同年齢同世代です。
    性別は、できれば同性の方が余計な詮索を受けないので、面倒ではないでしょう。3名以上なら、性別は気にしなくても良いかと思います。
  • お金の問題
    事務所の賃貸契約にしろ、電話の契約にしろ、誰かが契約者にならなければなりません。共同での契約は通常認められていないからです。まず、誰を「契約者」にするか。
     
    そして、先に書いたように、固定費用は心配ないとしても、変動費用、例えば電話の通話料、コピー代、コピー用紙代、果ては事務所の電気代など、経費負担の割合をどのように決めるかです。
    税務上クリアできるかどうかは別として、多めに均等負担して残りはプールするのが、お金の問題で、もめない方法の1つかと思います。
     
    ちなみに、大阪社労士事務所・合同事務所の場合は、法人(株式会社戦略人事研究所)に一部の業務を運営委託しており、毎月一定額ですので、分かりやすいですね。いっそ、法人運営形式を検討しても良いと思います。
  • 手間の問題
    支払いの手間、掃除の手間、色々な手間があります。
    それを金銭に換算するのか、無償の行為とするのか、ですが、手間を金銭に置き換えるより、当番制にする方がまだマシかと思います。
  • その後をどうするか
    「誰かが抜ける」場合も出てきます。2名の共同事務所であれば、それは経費負担が倍になることを意味します。倍になっては、「やっていけない」場合も出てくるでしょう。
    「抜けるときの扱い」「経費をどうするか」程度は、決めておきましょう。できれば、最初に決めておくことをおすすめします。
  • 最初が肝心
    社会保険労務士受験以前の友人知人なら別ですが、受験勉強以後の友人知人の場合は、最初に文面で、ある程度の共同事務所のルール・決まりは作ってすりあわせておく方が、後々問題になりにくいでしょう。会社でも同じですよね、就業規則や労働条件通知書で義務や権利、条件を明確にしています、あれです。

社会保険労務士法人にする

  • ハッキリする
    何事もハッキリするのが、社会保険労務士法人での運営です。会計面がクリアになりますので、それをメリットととらえるのかデメリットと感じるのか。マイナンバー制度の対応としても良いのではないでしょうか。
  • デメリット
    社会保険労務士会の会費が法人分余分に掛かることが最大のデメリットでしょうか。そんなことよりも、個人毎の収入が明確になること?もちろん、法人にすることで法人税の申告書の提出の面倒さ、社会保険への加入(これ自体はメリットと思う人も多いと思いますが)、均等割分の負担(大阪なら7万円)などもあります。




2012-04-30 (月) 23:20:23更新
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