マイナンバー制度の対応
連合会の対応は、間違っている
昨日平成27年4月27日(月)に、大阪会でマイナンバー制度の説明会に参加してきました。エル・おおさかのエルホールで今までにない参加者数。
入り口でレジュメをいただき、中へ。着席してレジュメを確認。実はこの時点で帰りたくなりました。ホンマに「説明会」ですね。
事前に3月に兵庫会で開催された説明会の資料を見せてもらっていましたが、大して変わりません。
あと、「100人以下」を連呼しすぎ。番号法が個人情報保護法の特別法というなら、個人情報取扱事業者の説明をすべきではないか。そして、100人でなく、社会保険労務士なら10人でしょう。
↑↑ ここが連合会の大いなる間違い。
(特定の個人を批評・批判できませんが、伝達研修の内容がそうだったのでしょう。)
内容
社会保険労務士の資格を持つ者、社会保険労務士試験の勉強をした者なら誰でも知っているこれ。
労働基準法
第九章 就業規則
(作成及び届出の義務)
第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一・二 省略
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二・四・五 省略
七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八 省略
九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
わざわざ、3号7号9号を残したのは、特定個人情報取扱規程(連合会で言うところの、マイナンバー取扱規程:仮称)にその内容を含めたいため。10号で「当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする」ので、取扱規程は就業規則です。担当者と責任者だけが関係するのではないのです。
だから、100人という必要はない。
だから、10人で十分。
だから、連合会はアピールの方法を間違えている。
各業界に対して、「取扱規程(就業規則の一部)は、社会保険労務士におまかせください」とすべき。情報セキュリティに詳しいかどうかは別として・・・
そもそも、番号法って、別表第一に記載されている法令でしょうか。番号法も個人情報保護法も別表第一に含まれていませんが、そのことを理解しているのでしょうか。つまり、大っぴらに個別相談には乗れない…。
何か問題があるのか、「取扱規程は就業規則」と公言できない理由があるのか、色々なマイナンバーセミナーに参加していますが、「取扱規程=就業規則」と言っているのは私以外では聞いたことがありません。
(大阪社労士事務所のメンバーの一人は、マイナンバーセミナーで「100人」を聞いたことがないと言うけれど、それはそれで問題・・・)
分かっている社会保険労務士
昨日の説明会の帰り、大阪社労士事務所にいた元メンバーの女性社会保険労務士の顔を見たので声を掛けると、ひと言。
「規程は作れるけど、セキュリティのところが分かりませんわ。」
と、ポツリ。
(規程作れるのね、スゴイ自信。)
セキュリティ、安全管理措置のことですね。
「セキュリティを分かっていないと、取扱規程、作れないんですけど」
社会保険労務士の多くは、分かっていないであろう分野なので、連合会は、セキュリティに詳しいグループ(特定の会社でなく、集合体・団体など。例えばITコーディネータ協会)と協力を仰ぐなり、それこそ説明会をやってもらう、などのことが考えられます。合同での説明会も良いかも。
それ以前にマイナンバーのガイドライン・事業者編に書いてありますけど?
是非、チラッとでも読んでおきましょう。
まあ、現実問題として、サーバーがあるレベルの企業(パソコンの台数が目安3台以上)であれば、システムベンダーさんが入っているでしょうから、情報セキュリティについては、そちらに相談するのが筋かも知れません。お金は少々掛かりますが。
別表第一
社会保険労務士なら常識の、社会保険労務士法別表第一。そこには、番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律:平成二十五年五月三十一日法律第二十七号)は列記されていません。
「えっ、どういう意味?」
つまり、「マイナンバーの個別相談」は弁護士法や行政書士法の違反となる可能性を含んでいます。一般的な法律相談ならば弁護士法、書面の作成なら行政書士法違反。既述の労働契約法と全く同じです。番号法に基づき取扱規程を作成した場合の根拠は、何なのか?あるところでは、社内規程は誰が作成しようが構わないという判断もあるようですが、別表第一に列記されていないということは行政書士の業務の範疇に入るのではという思いがあります。
「マイナンバーのご相談は、社会保険労務士へ」は適切なのか。今の時点で、マイナンバー(個人番号)の利用に一番近い士業は社会保険労務士であることは誰も否定はしないでしょうが。社会保険労務士が堂々と扱える法律に、番号法が入っていないのは事実。
「取扱規程は、就業規則の一部である」という公式見解でも出ない限り、連合会は取扱規程の位置付けをどうお考えなのでしょう。「勝手にしろ」では、困りますよ。
大阪社労士事務所では、取扱規程は事務マニュアル・作業手順書では無く、事業場の全員が守るべきルールを記載しているので上述のように「就業規則」と判断して、労働基準法に基づく事業場内備え付け書面、即ち社会保険労務士が作成できる書面として取り扱っています。
※この項目、2016年4月12日追記。
まとめ
国家的事業であるマイナンバー制度。
派遣会社、システムベンダー、経営コンサル、など色々な事業会社が「売上げ、営業」目的で、マイナンバー制度の説明会を行っています。売上げを上げることが事業ですから。
一部の社会保険労務士事務所も、受講料でお金を稼ぐセミナーを開催されていますが、汚いと思います。
マイナンバーの説明会、連合会・社会保険労務士会がすべきでは?
これこそ、社会貢献であると思います。
「危機感を煽る」やり方でなく、具体的な手法・方法を提案して、説明会をすべきと考えています。
ホンマ、他のことを差し置いても「マイナンバー」でしょ。
もちろん、今年後半には、ストレスチェックもありますが、こちらは対象の事業場も、現実の対象者も限定されています。
マイナンバー制度は、全ての事業所・企業、全ての給与・賃金の支払いを受ける者、源泉徴収される個人事業者が対象。
今後連合会が、ここに書いたような方向に向かうのであれば、良いのですが。
2015年4月28日の提案
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