給与明細に、載せてはいけない項目

「社会保険の調査で、こんな指摘を受けました。どう思います?」
と、社労士開業予備校の修了生である開業社会保険労務士さんからメール。

(途中かなり省略、以後ブログの部分かなり脚色)

私「賃金台帳は賃金だけしか、支給項目としては載せてはいけないよ。」

賃金台帳は労働基準法第108条(施行規則も参考ください)に規定されています。ちなみに、給与明細書は所得税法第231条に規定があります。

賃金台帳ですから、「賃金以外」の項目はアウト。
では、社会保険の調査で何を指摘されたのか、本家(大阪社労士事務所ブログ)には書いたことがありますが、「出張旅費、出張手当」を賃金台帳に記載があると、「それは報酬だ」と。つまり、算定が間違っているということ、組み入れるべき報酬の考え方が誤っていると。

「給与・賃金と出張手当を、同時に支払って、何が悪い?」
何も悪くありません、同時に支払うことは。
賃金台帳に、給与・賃金ではない、出張旅費・出張手当を載せることが悪い。

経営者・給与担当者の言いたい事は分かります。
「振り込み手数料がもったいないでしょ!」
だから、出張旅費・出張手当(宿泊日当、日帰り日当など)は別枠でエクセルか何かで計算して、明細も別扱いにする。
「そんなことしたら、めちゃくちゃ、面倒じゃないですか。」

それか賃金台帳の項目としては、集計しないように設定する。
 ↑ これなら、すぐにできますよね。
支給明細表などの内部資料には、給与・賃金以外が記載されていても構いませんが、賃金台帳には給与・賃金だけ。解雇予告手当や休業手当でも、同様のことを労働基準監督署で指摘される可能性があります。賃金台帳と給与明細書は、性格的には別ですが、従業員・社員に渡す給与・賃金に関する資料として、出張旅費・出張手当は別に記載する方が誤解を受けないはずです。
(後学のため弥生給与で設定しましたが、少し面倒ですが、できました。他の給与計算ソフトはどうすれば設定できるのか分かりませんが。)

「賃金台帳に記載されているから、報酬月額に算入しなさい。」という年金事務所・日本年金機構の指摘は、だから、間違っていません。

この後、出張旅費規程を持参して、年金事務所に説明に行くらしいのですが、どうなるのでしょうか。
追記か続報で、書きたいですね!


追記:N事件(東京地判平14・5・29労働判例832号36頁)を調べたようで、これを根拠に年金事務所には行かず、指導に従うことにするようです。ただ、判例ではなく、地裁判決ですし、もし時間外手当を含むとすれば別の問題(源泉徴収など)が発生するように思いますが。「出張時の日当」を標準報酬に入れなければならないのであれば、大きな問題です。

所得税法基本通達9-3

(非課税とされる旅費の範囲)
9-3 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。
1.その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
2.その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。



追記その2:年金事務所の担当官の主張は、賃金台帳に記載されているだけではなく、「日当=人件費、即ち給与・賃金だから報酬に入れろ」だと言うことだそうです。2年ほど前の労政時報に「国内・海外出張旅費の実態」がありましたので、参考までに。日帰り日当でさえ78%の企業から支給されています。労政時報の調査ですので、大企業・上場企業中心ですが、日帰り出張でさえ日当が出ています。(支給基準は、例えば事業所外で5時間以上)また、旅費・出張手当精算システムなどの類いも現実に導入されている企業様が少なくありません。社会保険の報酬に算入しているのでしょうか。かなり疑問です。


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