社会保険労務士として開業すると、色々なお誘いがあります。
まともな内容もあれば、「アレッ」と思うことまで様々です。以下は、社労士開業予備校講座の修了生や大阪社労士事務所のメンバーが遭遇したことを書き出しました。

代理店

商品販売の代理店

 異業種交流会やDMで、経営者に知り合うと、ごくまれですが、「代理店をやってくれるのなら、顧問契約を考えても良いよ」と言われるのだそうです。

大抵が「代理店登録手数料」と「商品の購入」がセットなのですが、その金額は100万円超!で、「お金がない」と言うと「クレジットで大丈夫です」とサッと契約書が出てくるとか。

相談されると、「顧問契約の話は、どうなってるんですか」と振ると、「そこまで行ってない」「従業員さんが今はいないんだそうです」。

顧問契約を取らなければという気持ちが先走りして、逆に「お客様」になった形です。お客様になること自体は悪くありませんが、状況を把握した上で、営業をしないといけません。

サービスの代理店

最近多いのが、商品在庫のないサービスの代理店にならないか、という話です。

先の商品販売の代理店と同様、異業種交流会で知り合ったり、営業先で声を掛けられます。営業しているつもりが、営業されるようになるのも、商品販売の代理店と同じです。

「商品の在庫が不要なので、その分の代金は要りません」が特長ですが、登録料は数万円から数百万円まで。すぐに、契約書やクレジット契約書が出てくるのは、私たちも見習わないといけないかも。

まあ、実際に売れるのであれば問題ないのですが、頑張っても売れなければ、損を見ることになります。「営業や販売手法に問題があったのでは」と軽くあしらわれてしまいます。

生命保険や損害保険の代理店もこの「サービスの代理店」ですが、登録時の手数料は、大げさな金額ではありません。まあ、損保の代理店には非常になりにくい状況ではありますが。

登録料

「登録してもらえれば、紹介します」
「登録が、お客様紹介の条件となっています」
「登録料だけですので、リスクはありません」
「無料登録と違って、紹介の頻度や客筋は良いです」
などなど、登録料、手数料、事務手続料など、色々な名目で「登録料」を支払うよう要求されます。

で、「紹介」があるのか否か。
ないケースが多いのだそうです。

「相手先の要求基準に達していません」「経験が不十分です」などと言われるのだそうですが、開業して間がないので、実務経験は少なくて当たり前、登録料目当てと思われても仕方のない業者さんや一部の同業者がいるようです。

ネットでは、「無料で登録、依頼があれば」スタイルをとるところが多いのですが、実態は不明です。

助成金の下請け

悲しいかな、助成金は「お金がもらえる」ので、営業がしやすい、それに付け込む人も多いのです。

とくに開業すぐの社会保険労務士にとっては、声を掛けやすいツールの一つのはずです。
逆に、ベテランの先生にとって助成金は「手間が掛かって、面倒くさい」そして「リスクがある」モノです。

私が耳にしたところでは、ベテラン社会保険労務士に仕事を振ってもらったのは良いが「限りなくブラックに近い状況の助成金申請」や、リスクのみ背負わせる「下請け事業者状態」、見込み客紹介の見返りに「絶対に助成金をもらえるようにしろ状態」などは、日常茶飯事です。

力関係で難しいところもありますが、「上手く利用される」のだけは避けたいところです。

お断り

  • このページ記載の内容全てが、悪と決めつけているわけではありません。やって良い「代理店」や「登録料支払い」もあるはずです。ただ、私は「社会保険労務士で開業したのだから、社会保険労務士でお金稼ごうよ、取りあえずは」という考えを持っています。
  • 開業すると全てが自己責任です。「消費者」ではなく「事業者」ですので、契約事は慎重に進めて当然かと思います。不安があれば、家族や同業者に相談するべきです。



関係する機関 ⇒開業社会保険労務士の1日 ⇒開業すると太る ⇒カバンの中身 ⇒事務所の形態と場所 ⇒社会保険労務士会の組織



2009-10-31 (土) 11:29:46更新
a:7779 t:1 y:0